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気になる尿のトラブルは前立腺肥大によるものかも!症状や治し方を解説

2025年1月10日

尿に関するトラブルにはさまざまな病気が疑われます。
しかし、50歳以上の方で最近頻尿になった、排尿したのに残尿感があるという方は前立腺肥大の可能性が極めて高いといえます。
本記事では、どんな人が前立腺肥大の症状、原因、治療法などを詳しく解説します。

前立腺肥大の主症状


そもそも前立腺は男性にのみある腺で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲む構造です。本来はくるみ程度の大きさですが、年齢を重ねるごとに徐々に大きくなっていき、前立腺肥大と診断される方はミカン程度の大きさになっていることも珍しくありません。

前立腺肥大の有病率を見てみると、40歳代で2%、50歳代で2%、60 歳代で6%、70歳代で 12%となっており、年齢を重ねるごとに前立腺が肥大する人は増えていることが分かります。

前立腺が肥大することで、尿道を圧迫することから排尿症状、蓄尿症状、排尿後症状の3つの症状が出現します。

ただし、前立腺の大きさによって症状の重症度が変わるということはありません。
前立腺肥大が重度であっても症状が軽いケースもあります。ここでは症状がなぜ起こるのか、その特徴について詳しく解説します。

排尿症状

排尿症状とは尿を出すことに関係した症状のことを言います。
肥大した前立腺に尿道が閉塞された結果として症状が出現するものです。
具体的に以下の症状が出ている場合には前立腺肥大による排尿症状である可能性が高いといえます。

 尿が出るまでに時間がかかる
 力まないと尿が出ない
 尿の勢いが弱い
 尿線が何本かに分かれて出てくる
 尿が途切れてじゅうぶんに排尿できない

蓄尿症状

畜尿症状とは尿を溜めこむことに関連して起こる症状です。
排尿障害によって膀胱の機能が変化した結果として起こる症状と考えられています。
以下の症状が出ている場合には畜尿症状である可能性が高いです。

 頻尿(朝起きてから就寝まで約8回以上)
 夜間頻尿(就寝後1回以上尿意によって目が覚める)
 尿意切迫感(我慢できないような強い尿意が起こる)

排尿後症状

排尿後症状とは、排尿後に現れる症状のことです。尿の量と勢いが低下した結果として、起こると考えられています。

排尿後症状は次のような症状が出現します。

 残尿感
 排尿後尿滴下(排尿後もぽたぽたと尿が漏れて下着につく)

前立腺肥大になる原因

前立腺肥大になる最大の理由は加齢です。加齢によって男性ホルモンの分泌量が低下することが前立腺肥大に関連していると推測されています。
しかし、その他にも前立腺肥大になる原因はさまざまあります。前立腺肥大の原因は次の通りです。

遺伝

前立腺肥大には遺伝の関連性も示唆されており、父親、兄弟に前立腺肥大の方がいる場合には前立腺肥大になる可能性が高いです。

特に、兄弟に前立腺肥大の方がいると、前立腺肥大になる可能性が極めた高くなることが分かっています。

ただし、どの遺伝子が前立腺肥大に関係しているのかという詳しい点について現時点ではわかっていません。

食事

食生活は前立腺肥大へ関係しているとされています。
野菜や穀物、大豆などに多く含まれるイソフラボノイドやリグナンが前立腺肥大を抑制すると考えられています。
そのため、野菜や穀物、大豆などを食生活にあまり取り入れないという方は前立腺肥大になりやすいと推測されているのです。

前立腺肥大になりやすい食べ物はないものの、後述するように前立腺肥大は肥満とも関係しているため、脂っこい食事は前立腺肥大を誘発することが考えられています。

生活習慣病と性機能障害

肥満、高血圧、糖尿病および脂質異常症は前立腺肥大に関係することが分かっています。
特に、高血糖状態の方は、インスリンが多量に分泌されますが、これによって交感神経が緊張状態となり、前立腺平滑筋の増殖や緊張が亢進して尿道を圧迫することから症状が出やすくなると考えられているのです。

上記と同じメカニズムにより勃起障害や射精障害といった性機能障害の方も前立腺肥大を起こしやすいことが分かっています。

また、肥満の方は前立腺体積が大きいことも分かっており、肥満の方は前立腺肥大になりやすいと考えられています。

前立腺肥大になるとどうなるの?

前立腺が肥大することでさまざまな症状が出ますが、中には症状がほとんど出ないあるいは軽度なケースもあることから、放置しておいても問題ないと考える方もいます。

しかし、前立腺肥大を放置することによって、次のような状態になり、場合によっては命にかかわるケースもあります。

尿閉

尿閉とは、膀胱に尿が溜まっているものの全く排尿されない状態のことを言います。前立腺肥大の方は特に尿閉になりやすく、一度治療をしても繰り返すことが分かっています。

腎不全

前立腺肥大によって膀胱に尿が溜まっていても十分に排尿されない状態を放置すると膀胱内の圧力が高くなり、尿管から膀胱への尿の流出が妨げられ、腎臓にまで尿が蓄積することになります。
これにより、腎臓の機能が低下する腎不全になる可能性があるとされています。
しかし、前立腺肥大から腎不全を合併する可能性は1%以下と非常にまれです。

前立腺肥大の治療法

前立腺肥大の症状が出現した場合には経過観察をしても著しい改善は見込めません。
そのため、医療機関を受診して早めに治療をすることが必要です。
前立腺肥大の治療方法は次の通りです。

薬物療法

内服薬を使って行う治療です。主に使われる薬はα1遮断薬というもので、前立腺肥大に関わる平滑筋の緊張状態を解くことで排尿を促す作用を持つお薬です。他にも男性ホルモンの調整に関わる5α還元酵素阻害薬や漢方薬を用いた治療が行われます。

手術

薬を服用しても前立腺肥大が改善しない、前立腺肥大の症状によって尿閉・尿路感染症・血尿・膀胱結石などの合併症を発症している、重度の前立腺肥大であるという場合には手術を行います。この場合は、当院と連携する専門医療機関へ紹介致します。

前立腺肥大と思われる症状がある方はご相談を

前立腺肥大と思われる症状がある方は、松田記念泌尿器科クリニックへご相談ください。当院では患者さまやご家族に寄り添った診療と、理解しやすい言葉での説明を心掛けております。
前立腺肥大の検査を丁寧に行い、早期発見と早期治療へとつなげていきます。
「排尿に関して気になる症状がある」という方は、まずはお気軽にご相談ください。